Cyberbird

写真、旅行、猫、創作、日常、ぐるぐる地を巡る日々

猫に寄生虫がいた話

猫に寄生虫がいた。

拾ってから半年以上たっており、今までそんなそぶりは見せなかった。

もちろん拾った時に寄生虫駆除の薬をちゃんと獣医さんからもらって処置していたので、まさかと思ったのだが実際にいたのだから仕方ない。

 

ある早朝、猫がえずいている音でうっすらと目が覚める。

猫はもともと吐くことが多い生き物だ。

身体をなめて毛づくろいして体内にたまたった毛玉を出すためだっり、急いで餌を食べるともどす。

とはいえ、この猫が吐いたことは今までなかったので若干気になった。

吐いたものを見ると爪とぎをかじっていて飲み込んでしまったと思われる段ボールの切れ端が2,3個あったので、異物を飲みこんだから吐き出したんだろうなと考えて、吐いたものを片付けるとまた寝た。

そのあと、目が覚めてから猫に餌をやるといつものような勢いで食べたが、半分くらい食べたところで餌を全部吐き出した。

餌を吐き出すというのは今までなかったので、ここでも気にはなった。

猫は餌を吐いた後、何事もなかったかのようにまた餌を食べ始めたので食べるのを急ぎすぎたのかなと思っていたら、全部食べ終わる頃にまた餌を吐いた。

また餌がダメになってしまったので少し餌を足してやったが、もう猫は餌を食べずに横になってしまった。

機嫌は悪くないようでなでればゴロゴロいうが、さすがにこれだけ連続で吐くのは調子がおかしい。

もうしばらく様子を見ていたらまた何度か吐いた。

餌の後で吐いたものは水のような透明の液体だったが、胃酸が混ざっているのかだんだん黄色い液体になっていく。

餌を食べないだけでなく、水も取らないので脱水症状を起こさないか心配になる。

その日に限ってかかりつけの獣医さんは休診の日だったので、今日1日様子を見て明日いつも行っている動物病院に連れて行くか、それとも今日やっている別の動物病院を探して連れて行くほうがいいか、迷いながら仕事に行った。

 

結局、帰宅しても猫の吐き気は収まっていなかった。

いつもならば活発に動き回る猫がじっと動かず大人しくしている。

餌と水は朝から減っていなかった。

朝より体調は悪くなっているのは確かだった。

このまま水分も取れないまま吐き続けたら脱水症状を起こしてしまいそうだと思ったので、今日やっている動物病院を探して連れて行くことにした。

電話をして今日連れて行っても見てもらえるか確認したところ、予約の人もいるので待ち時間が1時間ぐらいかかってしまうが診てくれるというので急いで連れて行く。

他の犬猫たちの気配がする慣れない場所に連れてこられた猫は、ケージの中で目を真ん丸にして固まっていた。

よだれも大量に出していたのは体調が悪いだけではなく、緊張していたからだと思う。

待ち時間の間、たまたま隣に座った猫を連れてきているおばさんと「そちらの猫ちゃんはどこが悪いんですか?」とお互いの猫の話などをしていた。

 

1時間ぐらいして、ようやく名前を呼ばれたので診察室に入る。

獣医さんに猫の症状を話して、診察をしてもらう。

早朝に吐いたものに段ボールの切れ端があったのと、部屋の隅にゴミ箱に捨てたはずのリップクリームが転がっておりプラスチックの蓋がなくなっていたことからなにかを飲み込んでしまった可能性と、胃腸の不調のどちらかか微妙なところだった。

 

この猫は以前釣竿の先に羽の付いたおもちゃが大好きなので遊んでやったらものの数分で釣竿の先についたプラスチックの留め具ごと羽をむしって飲み込んでしまったこともある。

その時はかかりつけの獣医さんのところに連れて行った。

その時言われたのが、プラスチックは金属と違ってレントゲンをとっても写らない。

そのため、飲み込んでしまったものを探すのにはバリウムを飲ませることになる。

だが、飲み込んでしまったものはそんなに大きくないので、特に問題なくケロッ元気ににしているのならば、バリウムを飲ませて猫に負担をかけるよりも様子を見てください。

吐く、食欲がない、便が出ないなど異常があったらまた連れてきてください。

プラスチックは猫の体内で粉々になってしまうので糞のなかに見つけれなくても大丈夫ですよ。ということだった。

 

今回初めて言った獣医さんは腸に超音波を当てて、何かを飲み込んでしまって詰まっているものがないか調べてくれたが、腸には異物は見当たらないと見せてくれた。

もともと猫は警戒心が強い生き物なので、妙なものを飲み込むことは少ないということで、まだ元気はあるのでまずは吐き気止めの薬と脱水症状を起こさないように水分を注射してもらうことになった。

猫の胃の検査はいろいろ難しいらしく、一つ一つ薬で対処してみて効くか効かないか、それが検査代わりとして進めさせてくださいということだった。

 

家に帰ってくるともうずいぶん遅い時間になってしまっていた。

猫をケージから出してやると、今まで我慢していたのかすぐに吐いた。

吐き出す時は結構勢いよく液体をびしゃびしゃ飛ばすので、マーライオンみたいだなあと場違いなことを考えてしまっていたのだが、今回は吐しゃ物の中にうねうねと動くものがいた。

寄生虫だーーーーーーー!!!」

吐き出したのは白いミミズみたいな虫だった。

寄生虫だ。間違いない。

急いでスマホで検索してみると、そういう寄生虫はやはりいるらしい。

慌てて動物病院に電話をして、再度猫を診てもらえるか聞いたところ、見てくれるというので猫にはストレスがかかってしまってかわいそうだが、すぐに再度猫を病院に連れて行くことにした。

寄生虫の写真を撮ってきてくださいと動物病院から指示されたが、写真よりは実物を持って行ったほうが確実だろうと、気持ち悪いがティッシュペーパーでつかんでビニール袋に入れて持っていくことにした。

 

実は仕事から帰ってきたとき、猫の吐しゃ物を片付けているときに、なんだかよくわからない白い神経みたいなびよんびよんした細長いものがあったので、そいつも病院に持って行かなきゃなーと思いつつも片付けたときにうっかりゴミと一緒に捨てたのかなくしてしまい、病院でもその吐いたものを話さなきゃなーと思っていたが、テンパっていたのですっかり失念していた。

ここですぐに寄生虫を吐いてくれなかったら、体調不良の原因が判明するまでもっと時間がかかったかもしれないと思うと申し訳ないことをした。

 

動物病院に再度行くと遅い時間だったので診察待ちの人はほとんどいなかった。

先の人の診察が終わるまでケージの中でよだれを大量に流す猫と一緒にぼけっと待っていると、受付の女性からは「お待たせしてすみません」と気遣われてしまい恐縮してしまった。

こちらこそ遅い時間に押しかけてきてすみませんという感じなのに。

ビニール袋に突っ込んだ寄生虫はしぶとくうねうねとのたうっていたのを気持ち悪いなとたまに見ていてるうちに順番になった。

「これで原因ははっきりしましたね」と先生が言う。

そこで、先生に疑問に思っていることをきいてみた。

「この猫、半年ぐらい前に拾ってきた猫なんですが、その時にちゃんと虫下しをもらって寄生虫の駆除をしたんですけどいつから寄生虫がいたんでしょう?

やっぱり拾った時に虫がいて、それが残っていたんでしょうか?」

「たぶん拾った時にすでに虫がいたんでしょうね。

寄生虫も種類がたくさんあるので虫によって有効な薬は違いますし、成虫には効いても卵には効かないものもあります。

それにこれは検便でも見つからない寄生虫ですね。

サナダムシの一種です」

と先生が教えてくれた。

寄生虫……奥が深い……

さすが寄生虫だけで博物館ができるだけのことはあるなあと妙な関心をしてしまう。

寄生虫の駆除の薬にも、猫がなめれないところに垂らすタイプのと飲ますタイプとありますがどちらにしますか?と聞かれたので、飲み薬だと吐いてしまうといけないからと垂らすものにしてもらった。

次は寄生虫だけでなくマダニやノミも駆除できるものと、寄生虫だけ駆除するものがありますけどどうしますか?と聞かれたので、寄生虫だけ駆除するものにしてもらった。

以前使ってもらったのは寄生虫、ダニ、ノミを駆除する薬だったので、今度は違うもののほうがいいだろうかと思ったのでそうしたのだが、あとになって3種類まとめて駆除するもののほうがよかったかもしれないと思った。

駆除している間は虫が出ているため下痢をすること、1週間で寄生虫は体外に出ることを教えてもらって、その日の診察はようやく終わった。

 

こうして自宅に帰るとすでに夜の10時を過ぎていた。

猫も人間もぐったりして帰宅し、私の部屋に猫を連れて行った。

先住猫が嫌がるのでこの猫はほとんど私の部屋にいることになってしまって、どこかもっと広い家でのびのびと飼うことができる里親を探すほうがいいんだろうかと思いながらも、里親探しの難航を思うとある程度安全は保障されているうちのほうがいいんじゃないだろうかとジレンマになる。

そのため先住猫が接触がなかったが、それが逆に安心だったがまた様子を見て虫下しをもらってきたほうがいいかなとも思う。

さすがにぐうぐう寝てる間に枕もとで寄生虫を吐かれたら嫌だなと、猫に自室を明け渡して、自分はしばらく仏間で寝ることにした。

生類憐みの令みたいなお猫様だなあと思いつつ、それも仕方ないとあきらめるしかない。

 

その後、猫は翌日の朝、いつもより量は少なかったものの餌を食べて水を飲んだので安心した。

2日ぐらいは元気がなく机の下など物陰でじっとしていたが、3日ぐらいたつとぼつぼつと動き回るようになってきて、1週間たつ頃にはまた活発に動き回るようになった。

下痢は2日目ぐらいから始まり、10日ぐらい続いたので少し長いのではないかと心配になったが、今のところ通常の便になっている。

また元気になったので安心した。

 

寄生虫が見つかってから3週間ぐらいたったころ、以前駆除できてなかったため今回ももしかして生き残りがいたら困るなと再度動物病院に行った。

念のためにもう1回寄生虫の薬をもらえないかと猫を診てもらい、寄生虫の検査(検便ではなく肛門に体温計見たいものを刺し込んでいた)をしてくれ、寄生虫は見つからなかったので薬はなくても大丈夫ですよとのことだったので、ようやく猫は病院通いから解放された。

 

拾った猫に寄生虫が多いことは聞いていたが、とにかく虫下しをやっておけば問題ないだろうと安易に考えていたのがいけなかったなというのが今回の教訓だった。