Cyberbird

写真、旅行、猫、創作、日常、ぐるぐる地を巡る日々

猫を拾って ~2.難航する里親探し~

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猫を拾った翌日、まず最初にやったことは住んでいる自治体の動物保護センターへ迷い猫の届け出がないか問い合わせることだった。

予想はしていたが、似たような猫を探しているという届け出はなかった。

そのため、猫を預かって里親を探してもらえるか聞いてみたところ、「あずかることはできますが、一定期間を過ぎたら保健所に送られます」とのことだった。

それではなんのために拾ってきたのかわからないので、預けることはやめた。

他に里親を探す団体などに預けることはできるかと聞いてみたが、個人でやっているボランティアの連絡先は知っているが、常にたくさんの猫を抱えているので預かることはできない。連絡先を教えてもいいか聞いてはみるが、無理だろうと。

どうしたものかと固まっていたら、

「冷たいことを言うようですが、最後まで面倒を見るという責任を果たせないようならば猫を拾わないことも大事です。拾ってきた猫を元のところに捨てるのは犯罪になりますので、捨てないようにしてください」

と言われて、本当に冷たいことを言うなあとややショックを受ける。

そのあとも何か話したが、言われたことがショックで内容はよく覚えていない。

 

今になって思えば、本人は善行のつもりで安易にかわいそうだと拾ってきては、自治体やボランティアに押し付けていく困った人もたくさんいて、そういう人間の一人だと思われたのだなと解釈をしているが、その時にはそこまで考えが及ばずへこんでしまった。

 

電話が終わると家を出て、猫を拾ったお店に行き、そちらの駐車場で猫を拾ったので、迷い猫かもしれないので猫の飼い主を捜しているのでなにか張り紙を掲示させてほしいと伝える。

対応してくれたのは人のよさそうな初老の男性で、本来ならばそういう掲示物はしないことになっているそうなのだが、こちらが困っているのならばと本部に掛け合って貼り紙をしますといってくださった。

何が糸口になるかわからない。

無理を聞いてくれたことに感謝した。

 

あとはノミとりと健康かどうか診てもらうため、猫を動物病院に連れて行く。

獣医さんは猫の様子を見て、寄生虫がいるか、便はどのような状態かと聞かれ、ノミとりと寄生虫駆除をしてもらう。

猫は未去勢のキジトラの雄猫で、まだ乳歯が生えており、生後半年ぐらいとのことだった。

連れて行った猫は機嫌よくゴロゴロと言っていたので、聴診器を当てても心音が聴けませんが、元気そうですし問題ないでしょう、あとはまだ拾ったばかりで猫についてはまだわからないのですから様子を見て下さいと言われて終わった。

昨日からの体調不良で私は結局熱を出し、今度は自分の薬をもらいにだけは行って、仕方ないので午後も会社を休むことにした。

 

インターネットでも里親募集について調べてみると、動物の里親募集は独特の慣習があるらしい、ということはわかった。

里親詐欺のでインターネットの里親掲示板で募集するときに気を付けなければならないこと、それでも時に引き取られた猫が悲しい結果になってしまうこと、子猫ならともかくある程度大きくなった成猫の里親は見つかりにくいこと、逆に里親に出す人が猫の安否や状態を気にするあまり里親になってくれる人に問題行為をしてしまうことなど、読んでいて気分はふさぎ込むような情報ばかり目についてしまう。

獣医さんからはインターネットでも里親掲示板で探すことも勧められたが、私がきちんとした人か否かを見極められるか自信がなかったので、インターネットで探すのは最終手段にしようと決める。

あとは、個人でも参加できる里親譲渡会を行っている団体をいくつか探して連絡を取れるようにブックマークをした。

 

友達や知り合いにも周囲にもらってくれる人はいないか聞いてもらえるようお願いをしてみるが、猫好きの人はすでに猫を飼っていたり、引き取ってもいいと思ってくれも相手が求める条件に合わないということで断られてしまった。

猫を診てもらった獣医さんは病院には里親募集の貼り紙をしてもいいと言ってくれたし、仕事の関係の人にも不躾ながら周りの人にも聞いてもらえないかとお願いをしてしまった。

 

そして困って最初に電話をした動物愛護センターにも行ってみて、個人でも参加できるような猫の里親募集はないかと相談にも行った。

そこで対面で職員の方と話して、猫を拾っても飼えないのならば、飼い主になってくれる人を探すことで責任を取りたいことを理解もらえたようで、今回は好意的に接してくれた。

愛護センターとはいってはいるけれど実態は保健所であり、動物を引き取るにはお金が必要なこと、また一度預けた動物は自治体の所有物になるので、気が変わったのでやっぱり返してほしいと言われても返すことはできないこと、預けられた動物がいつ殺傷処分になるか、引き取り手が現れたか最終的にどうなったかは教えられないことを教えられた。

確かに一度預けてもまた返すことは可能ですなんてことをやっていたらペットホテル代わりに預ける人もいそうだし、里親を探してもらえるのならばと簡単に動物を動物愛護センターに入れてしまう人がいるだろうからそうせざるを得ないのだろうなと納得した。

職員の方に里親になってくれる人を探している猫の写真を見せたら、かわいい!と笑顔になり、こちらもうれしくなった。

やはり動物にかかわる仕事を選ぶ人なのだから、動物が好きなのだろう。

まずは里親募集の貼り紙を掲示して個人で募集をすることにして、それでもだめならまた相談してくださいということで話がまとまった。

 

そうやっていろいろな人に聞いては見たが、なかなか猫を引き取れる人は見つからない。

誰が悪いわけでもないし、友達や聞いてみると言ってくれた人たちの厚意は感謝してもしきれない。

私が勝手に猫を拾っただけなのに、私に都合に付き合ってくれただけでもありがたいし、いろいろ聞いてくれたものの力になれなくて申し訳ないとまで言ってくれる人は何人もいた。

だけど、なんとなく断られて行き場のない猫が、自分と重なるようで感傷的になってしまい、ひどく疲れた気がした。